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木を植えた人:榊原忠美

第5話:それぞれの森

058

一樹:
実際に、今まで8000名以上の方に伝えてきた中で、
どのような感想が多いのでしょうか?

榊原さん:
そうですねー、「森が想像できた」とかね。
ただ、隣に座っている人とは森が違うんですね。

一樹:
それは深いですね。

榊原さん:
例えば、「私は岐阜の金華山の森をイメージした!」とか、
「私はスイスよ♪」とかね(笑)

それぞれがイメージをされている訳ですね。
この作品は特に想像力が命ですから。

一樹:
おっしゃる通りですね!

榊原さん:
観客はそういった楽しみをされている。
それと、私が語ってゆく言葉の深さや心地良さ。

そういったものが「非常に良かった」というのと、
とても静かな空間にライトが入った・・・
これだけでも感動したとか。

杪谷さん:
そうなんですよ。
だから、言葉から見て見えるものから聞くという・・・

普通は逆ですよね。
見えるものから見ますよね。
言葉と聞いてから描くわけです。

一樹:
そういうことですね!

杪谷さん:
今の日本の現代人というのは、
五感が衰えていると思いますね。

一樹:
おっしゃる通り、
最近はよく耳にする話ですね。

杪谷さん:
榊原は、暗闇にとてもこだわるんですよ。
暗闇って、そんなに経験しないですよね。

一樹:
『怖い』という印象もありますしね。

杪谷さん:
なぜ怖いのかということですよね。
それから匂いもそうです。

朗読の最初にロウソクが炊かれていて、
フーーっと消すときにロウソクの匂いが空間に広がる。
そのときに、何人の人がロウソクの消した香りに気がつくか。

それから音に対しても、どこまで耳を澄ませられるか。
そういったことに、もっと研ぎ澄まされて
本能的にはもともと人間は持っているのに、
現代は意味もなく大きな音でTVを見たり、街では騒音だらけだし。

車に乗っているだけで、見たくないものも目に入ってきてしまう。
そういうものって、フィルターかけられないですよね。

でも、もともとはフィルターをかける力を
人間は持っていたと思うんです。
そういったことにも気がついていただきたいですね。

一樹:
感覚で感じてもらいたいですね。

榊原さん:
感覚から感じて帰っていかれる方もいますね。
それから、人間の普遍的な生きる力を感じられる方もいますね。

一樹:
空間の雰囲気によっても感じ方が違いますよね。

杪谷さん:
だから、よく「257回もして飽きませんか?」と聞かれるんですね。
でも、僕らからすると毎回お客さんも場所も違うので、飽きないんですね。

季節によっても時間によっても、まったく違うものが出来ますからね。

榊原さん:
それが、僕らの継続してゆく力でもありますね。

杪谷さん:
ところが、今はTVやYouTubeで同じ映像を何度も見れます。
そういう事に慣れてしまうと、
生の感覚の一過性を忘れてしまうんですよ。

一樹:
ライブ感の良さって、
凄く大切ですよね。

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