
原さん:
秘訣なんて言えるほど僕自身が大した人間だったわけじゃないんですけど。
やっぱりね、大きかったのは炭焼きの修行をしに全国に出たんですよ。
その時に、各地のじい様たちがもう70代後半から80代の方ばかりで。
それで後継者がいないので、みんなすごく親切に教えてくれるんですよ。
「何でこんなに親切に教えてくれるのかな」と思ったら、
別れ間際に「頑張って続けてください。もうわしには後継者がいませんから」
って言われる。
一番すごかったのが岩手県の名人の方で、
「原さん、私は50年間ね、原さんのような若者がくるのを
ずっと待っていたんですよ」って言ってくれて・・・。
やっぱりそういう人たちに触れるにつれて、
あ、これはもう「個人的にしんどいからやめよ」とかっていうのでは
すまねぇなぁって。
一樹:
何か大きな使命みたいなものを感じますよね(笑)
原さん:
いやぁ、思いますよそりゃ、楽しく生きていくことだけ考えればね、
つづかないです。
しんどいですし、肉体的、精神的、経済的にもう三重苦。
ふっふっふ(笑)
一樹:
あっはっはっはっは(笑)
原さん:
いくらでも他に仕事はあるわけですしね。
一樹:
そうですね。
原さん:
でも続けてきたのは、硬い言い方をすればその先人に対する感謝と、
多少なりとも恩返しをしたいっていう気持ちと、
後はそれが自分の誇りっていうか、プライド。
「自分がやらなきゃ誰がやるんだ」っていう、「俺しかいないな」って。
そう思わないと続けられなかったんですよ。
本当にそう思っていたかは別にして、
そう言い聞かせないとやっていけなかったんですね、辛すぎて。
だって個人の楽しみじゃ続かないですもん、
何にもそういう意味では何か恩恵があるわけではないですよね。
自分では誇りを持ってやっているはずなのに、周りから認められないっていう
このギャップってかなりキツイものがあるんですよね。
逆に「馬鹿だ」って笑われる。
だって今、『利口』って何かというと、『楽して稼げる人』が『利口』なんですよね。
そういう意味からいうと対局の馬鹿ですよね。
苦労して、しかも儲からないじゃないですか。
「何でわざわざやってんの?」って何度聞かれたことか。
「好きだからやっているんでしょ」って言われたりするんですけど、
それにも素直に頷けない。
むしろ、ちょっと腹が立つんですよね。
「好きなだけじゃできねぇよ!」っていうのがあって(笑)
そこら辺はまた好きで音楽をやって、それを仕事にしたいと思っている人とも
ちょっと違うかも知れないんですよね、僕の場合は。
何ていうのかな、「出会っちゃった」んですよ、炭焼きに。
もっと言っちゃうと「呼ばれちゃった」んです。
山の神様、炭の神様に。
ちょっとかっこ良すぎますか?(笑)
一樹:
素敵です!(笑)
原さんの中で、今まで炭焼職人の先人たちが
「後継者を育てたかったけど、なかなかそれがうまく行き届かなかった」っていう
現実のなかで、その人たちの技術やあるいは日本の文化というものを、
「自分(原さん)が代わりに伝えたいんだ!」っていう、
使命感みたいなものがやっぱりあったんですか?
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