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炭師:原 伸介

第5話 何を為すかよりもいかに在るか

055

一樹:
先ほど対談前にもお話を聞いたんですが、
最近、学校や一般の方だとか、
あるいは企業の方に講演をされる機会が増えてきたと。

その中でも、すべての人が同じような悩みを抱えているという
お話をもう一度聞かせていただけますか?

原さん:
一緒ですね。
あのね、ちょっと硬い言い方をするとね、
一番今みんなが求めていて手に入っていない
「自己肯定感」っていう気がするんですよ。

「自分で自分を受け入れる」ってこと。

まず自分で自分を受け入れていないと、
やっぱり人を受け入れられないですよね。

原さん:
言い方を変えると、自分を許せるようになると、
他人も許せるようになる。

あまりに競って、競争して、儲けてというような事ばっかりに
意識がいってしまった時に、何かに勝ち続けないといけないとか、
結果を出し続けなくてはいけないってなってしまう。

それで結果を出せない自分は「ダメだ」みたいになってしまって、
結局優劣の世界になって、『勝ち組負け組』
という言い方もすごく嫌なんですけど、
そういう風な価値観になってきてますよね。

そうすると、もう「何か結果を出せない自分はダメなんだ」
っていう風に思ってしまうのが「とてもさみしいことだな」って。

それで夢に関してもそうなんですけど、
僕もずっと「夢は叶う」って言い続けてきたんですが、
確かに夢は叶い続けてきたんですね。

でも別にみんなが夢をもつ必要は決してなくて、
「結果を出す」っていうことは「何かを為す」っていうことじゃないですか。

でも、最近「何を為すか」よりも「いかに在るか」という事の方が
それ以上に大事じゃないかなって思うようになったんです。

一樹:
素晴らしいですね。

原さん:
つまり「在り方」。
大きな夢をつかむ必要はなくて、
大きな夢を追い求めている姿は美しくて素晴らしいんだけれども、
でもそれと同じくらいね、目の前の人を大事にして、
今、この空気、この瞬間を大切にするっていうことも素晴らしいと思うんですよ。

本当に大切な事は、何が大切かという事をちゃんと知ること。
それがわからないまま走り続けちゃうと、
空回りになっちゃうし、なんか寂しくなっちゃう。

結局、最近の気づきなんですけどね、
求め続けると絶対幸せになれないんですよ。

でも与えると、与えた瞬間もうすでに幸せなんですよね。
そういう風にできているみたいですね、人間って。

だから夢を追うのは良いことだけれども、
「この夢叶えた、じゃあ次この夢いきましょう、その次はこの夢いきましょう」って、
「ひとつ目標が叶ったらもっと大きな目標を立てましょう」っていうのは、
苦しいんじゃないかなと思って。

もちろんそういうやり方で、活き活き生きられる人はそれでいい。
でも全員が全員そうじゃなくてもいいんじゃないかなって。

あ、そうこないだね、企業のアンケートを見せてもらったんですけど、
その企業はすごく前向きな、自己啓発的なことをやっている企業なんですけど、
「あなたの夢はなんですか」っていうアンケートを社員にとったんだよね。

そうすると「マイホーム」「車を新しくする」「家族で海外旅行…」とか、
どんどん出てくるわけですよ。

そのなかで僕が一番印象に残ったのは
「日々を家族と笑顔で暮らすこと」って夢。

これって日常じゃないですか、手に入れるものじゃなくて。
それにすごく感動してね。

でも、ついつい夢って、今目の前にないものを、
しかも大きなものを示すことが「いいことだ」みたいな風潮があるじゃないですか。

そこで堂々と「日々を家族と笑顔で暮らすこと」
って夢を掲げた人がいたことに、すごく感動して。
「これが夢でもいいじゃないか」って。

「そんなの当たり前じゃん、夢じゃないじゃん」っていう人もいるかもしれない。
「なんか他に欲しいものないの?」とか。

でも欲しい『もの』より大事なのって本当に『目の前の人の笑顔』。
そういう人がいてもいいし、僕はそう在りたいと自分で思った。

それがさっき言った「何を為すかよりもいかに在るかが大事」ってこと。
何かを手にいれること、海外旅行だったり、車だったり、マイホーム、
それも一つ夢でもいいでしょう。

でも同じくらい『いかに在るか』っていうことを考えた時には、
家族の健康と笑顔とかね。

「素晴らしい夢だなぁ」って。
それを堂々と語れる世の中になったら、素敵だよなあっていう風に思った。

一樹:
ひとりひとりが『当たり前』
のなかにどれだけ幸せを見つけ出せるかですよね。

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