
にこ蔵さん:
それで、もういてもたってもいられなくなって
すぐ、妹にどうしたらこの人に会えるのかって相談しました。
そうしたら、下呂にあるホテルにて
数ヶ月に1度、ぜんきゅう教室を
開いていることがわかったのです。
妹が電話番号を知っているからということで、
すぐに教えてもらい電話をかけ、場所を聞き、
「近いうちにお邪魔をさせていただきます。」とお願いをしました。
一樹:
すごい行動力ですね…。
それだけ、ぜんきゅうさんの人生や言葉に惹かれるものが
あったということなのでしょうね。
にこ蔵さん:
おっしゃる通りだったと思います。その週末の夕方に訪ねたとき
奥さん(ひさこさん)が優しく出迎えてくださいました。
「遅い時間に申し訳ありません」と言ったら
「いいですよ、気にしないでください。」そんな風に
言ってくださる、優しい素敵な方でした。
少しお話をしていると、ふらっと、ぜんきゅうさんがみえて
「まあ、あがれよ。」なんて言ってくれました。
その後、ぜんきゅうさんが辿ってきた
長い道のりの話をしてくださいました。
まず18歳の時に東京に出ていって
その頃の友達が事業で成功しているっていうのを聞いて
「俺も成功してやる」と決意して事業をたちあげたました。
その後、バブルが最高潮のときには
従業員を増やしていき
ライバルの同級生が何十万という月収を
得れば、それに負けないように。
そして、ライバルの同級生がこんな鞄を買ったとか、
こんな車を持ったとかそういう話題を聞けば、
それ以上に高級なものを身につけることを目指したそうです。
一樹:
お話を聞いていると、もの凄くパワフルな人生を
歩まれていたのですね。
にこ蔵さん:
そうですね。でも、それからが大変ということでした。
バブルがはじけたと同時に、まったく人が雇えなくなってしまい
倒産せざるをえなくなってしまいました。
さらには、それと同時期に離婚してしまって
逃げるようにして実家に戻ってきたけど、
フヌケというか全く何もやる気がおきない状態に
なってしまったとお話されました。
一樹:
まさにどん底に落ちてしまったというか…
にこ蔵さん:
そう、どん底ですね。
ちなみに、ぜんきゅうさんは本名を善久(よしひさ)さんというのですが
そんな風になってしまって、
最初の1年くらいは周囲の人々も気にかけてくれて
「そのうち良いことあるから、ゆっくり休みなよ。
お前は今まで頑張ってきたのだから。」
と声をかけてくれたそうなのですが
それが2年経って、周りは段々あきれ顔になってきて
3年経つと、もう「あいつとは親戚じゃない、友達じゃない」と言い始める。
そんな状況で、ぜんきゅうさんはうつ状態に陥ってしまい
3年間ずっと、引きこもり生活を続けていたそうです。
しかし、段々と変化が見え始めます。
外に足を運び、海辺を歩いたりすることができるようになって
海岸に落ちている石を拾って眺めてみました。
この石は、高い山の水源から、ずーっと流れて
色んな道を経て、流れてきて海まで辿り着いて、丸くなってきた。
そんな風に想像しながら見直してみたら、とても美しくみえてきた。
そんな石達をみているうちに
石の1つに、穴を空けて、
目を作ってみて鳥のようにして飾ってみたら
さらに美しく見えたそうなのです。
それからはそういう制作に段々惹かれて始めて
たくさん流木を並べてみて、その上に鳥達を飾ってみたり
色んな風にアレンジし始めました。
一樹:
作品制作がだんだん始まっていくわけですね。
にこ蔵さん:
そうです。
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