
一樹:
ちなみににこ蔵さんは、まずぜんきゅうさんのお地蔵さんの模倣から
はじまり段々と、にこ蔵さん自身のお地蔵さんを描く過程に
たどり着いたわけですが、転換期みたいなものはあったのですか?
にこ蔵さん:
ありました。
まず、最初の1年くらいはぜんきゅうさんの真似ばかりしていました。
その期間に何度か、
ぜんきゅうさんの奥さんに絵を見ていただいていたのですが
奥さんからすると、全然近づいていなかったそうです(苦笑)
どうしたら良いものが出来るのだろう。
試行錯誤するうちに先に述べた、
ゆうせきさんの絵を見る機会がありました。
桜が書かれた絵だったのですが、その絵が印象深くて
自分の作品にも取り入れ始めたのです。
そしてまた描いては、ぜんきゅうさんの奥さんの元に足を運んで
ということを何度か繰り返している間に、ある時奥さんに
「あなたのお地蔵さんになりましたね」と言ってくださいました。
描き始めてから1年半が経っていましたね。
それまでは、ぜんきゅうさんの絵に似ているとも言われるわけでもなく
あなたのお地蔵さんは。ぜんきゅうさんと違うのだから、大丈夫だよと
評価の当たり障りがなかったのですが
その日を境に僕の作品は、僕自身のお地蔵さんになりました。
一樹:
師匠の奥さんに認めてもらえるという経験は
きっと大きかったでしょうね。
にこ蔵さん:
嬉しかったですね。
奥さんは人の作品を褒めるのが
本当に上手な方で、本当にお世話になりました。
作品を見てもらいたいとお願いすれば、
いつでも来てくださいねと言ってくださいますし
もし必要なときに、ぜんきゅうさんの名前を使いたいってことであれば
構わず使ってくださいね、なんて言ってくださるのです。
それに、奥さんは海外でぜんきゅう教室を開催されたりもしているようで
ぜんきゅうさんの活動をしっかり支えてくださっています。
活動を見ていると、いつも感心させられますね。
一樹:
すごい方ですね。
今でもにこ蔵さんに影響を与え続けているのですね。
聞いてみたいことがあります。
お地蔵というモチーフについてですが
それ自体はどういう存在なのでしょうか?
にこ蔵さん:
皆さんがご存知のように、仏教世界に登場してきます。
仏教には色々な仏様がいますね。
例えば、観音様。
これは、悩める人の話を聞いてくださる高貴な
存在というイメージがありますね。
お地蔵さんはもっと民衆が親しみやすく信仰を持つための存在と
言えると思います。
お地蔵さんは菩薩様と呼ばれる修行者のうちの1人で
菩薩というのは悟りを開くために、修行をしつつ
現世の人々を救っていくために仏の姿にならずに、
敢えて人の姿のままでいるのですね。
その中でもお地蔵さんというのは民衆
特に子供を救ってくれる守り神、そんな位置づけがあります。
例えば、仏教の中で1番の罪は親より早く死ぬこと、とされていて
それがどんな不幸なこと、どんな不慮の事故でも
いけないことだと言われています。
お地蔵さんは錫杖を持っていますよね。
一樹:
錫杖というと、あのリングがついた…
にこ蔵さん:
そうそう、杖みたいなやつですね。
子供が早くに亡くなって時に、その子供は天国に行けず
地獄に落ちてしまうかもしれない。
もし、そうなってしまった時には
お地蔵さんが錫杖を持って地獄まで助けに行ってくれるのです。
そんなわけで、たくさんいらっしゃる菩薩様の中でも独特の存在ですね。
こんな面白い話もあります。
お地蔵さんがどれだけ子供好きかというお話です。
あるお寺の和尚さんが町を歩いていると
ふと子供達が河原に集まっているのをみかけます。
なんと子供達が峠の途中に奉られているお地蔵さんを
持ってきて、川の流れにのせて遊んでいるではありませんか。
それを見た和尚さんは、そんなことをするのはバチ当たりだ
すぐにお地蔵さんを元に戻してこいと、子供達に怒ります。
もう2度とこんなことをしてはいけない、
と子供達に注意をして帰らせたのですが
その日の夜、眠っている和尚さんの枕元に
お地蔵さんが現れて、語りかけます。
「起きよ。お前は私が子供たちと楽しく遊んでいるのを止めたが
止める必要はない。明日からも私は遊びたいから、
子供達に私を使うように言いなさい」と言います。
一樹:
そんな風に言ってくれるくらい
お地蔵さんは子供達のことを好きでいてくれるのですね。
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