一樹:
元々、中澤さんがそこまで「将来的に個室がいい」
と自信を持って言えた何かがあったんですか?
中澤さん:
だって、ここがそうですもん。
ここは4人部屋が当たり前の時代に、
これからは個室だって言って。
狭くてもいいから、個室じゃなきゃダメだって。
その前に、老健を作った時に思ったんですよ。
やっぱりね、医療福祉事業者側はやれ4人部屋の方が
お互いその部屋でお友達ができていいでしょうとか。
夜中に何かあった時に同じ部屋の人が
気がついてくれていいとか言うけれど、
実際そうじゃないという事をきちんと調査された建築家がいるんですよ。
一樹:
実際に調査さてたんですね!
中澤さん:
そうこうしているうちにその方が全室個室のユニット型、
クラスターって言ってましたけれど。
デンマークやスウェーデン辺りではよく見てきたタイプを
青森県のある町へ作って。
その後、今度は「風の村」って特養を作られて、
そのあたりが一つのこういう全室個室の
特養の始まりなんですけどね。
そんなことは私は全然知らずに、
「やっぱり終の住処なら個室じゃなきゃ辛いでしょう」
と私は思うわけですよ。
カーテン一枚仕切ったところで「ここがあなたのスペースです。」
って、そこで最期まで過ごすのかと思ったら、私は嫌だと思ったわけ。
色んなところをそういう目で見に行くと、
老健を作った時もそうだったんだけど・・・。
その時には病院の病室ていうのは、
1ベットあたり4.3平米あればいいんですよ。
今でも基準はそうですけどね。
4.3平米っていうと3畳くらい。
3.3が一坪ですからね。
だからそう3畳あるか無し。
ベッド置いたらほとんど周囲には何も置けないし、
車椅子はもちろん通れない。
一樹:
そうですよね。
中澤さん:
だから寝相の悪い人だったら、
寝返りしてポンと足が向こうにやったらね、
隣のベットに足が届いちゃったっていうことがあり得ますよね。
基準がそうなっているんですよね。
老健は1ベット辺り8平米。
8平米になると周囲にちょっとものが置けるようになる。
それで私の作った老健ていうのは、
第一世代の老健で本当にカーテンで仕切られているだけ。
もちろん二人部屋も作り、個室も作ったりもしたんだけれども、
それでも、本当にプライバシーがあるかって言ったら無いですよね。
一樹:
そうですよね。
中澤さん:
私の友達が入院したりすると、お見舞いに行くのだけれど、
自分が患者の身と目になって観察してくるわけ。
4人部屋だって言っても、みんなカーテンで仕切っちゃって、
お隣の人と顔をあわせないようにしていますよね。
そういう事をちゃんと調査された先生がいる。
6人部屋だと、片方が廊下で片方が窓で並んでいる。
窓際の人は大体窓の方向いてる、廊下側の方は、
廊下側向いてる、真ん中の人は天井を向いて寝てますよ。
一樹:
(笑)
中澤さん:
わずかに一人の人が一人の人に「おはよう」と挨拶するだけで、
後は会話もない。
一樹:
それでは、やっぱりストレスが溜まってしまいますよね。
中澤さん:
気配っていうのは、同居の家族でその気配がするっていうのは、
割合と安心感みたいなのがあるけど、
家族が留守で一人だけだったりすると寂しいもんだなぁと思ったりしますよね。
そういうのとはやっぱり違うわけですよね。
一樹:
そうですよね。
中澤さん:
特に高齢者になってきて、
要介護状態になればオムツも替えたりするわけで、
匂いだとか物音の問題があるわけですよ。
だからそういう事を考えたりするとやっぱり個室じゃなきゃ。
4人部屋を見に行ってもね、
プライバシーを尊重する為に間仕切りを家具や何かで
仕切ったりしてお隣が見えないように一生懸命工夫はしているんだけれど、
そうすればそうする程、一人分のスペースが狭くなる。
老健は一人8平米のスペースだけど、
そこに通路を作るでしょ。
一樹:
あ~、そうか。
中澤さん:
廊下から奥のベットへ行く。
とその分減ってしまうわけですよね。
だからじっと見て考えてね。
4人部屋をこういう風に横に並べて、ここで区画すれば
個室に出来るじゃないか。
廊下は長くなるけどね。
一樹:
なるほど。
中澤さん:
そういう考え方で作ってる。
一樹:
そういう事だったんですね、このせんねん村のスタイルは。
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