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サンマーク出版 編集長:鈴木七沖

第16話 『はい、わかりました』~大野勝彦さんとの出逢い

鈴木さん:
そうですね。
この『はい、わかりました』はですね、
本は、2007年7月に出版されました。

大野さんとは不思議な出逢いがありまして、今から数年も前、
僕の家族が病気になったときに、
精神的な支援をいただいた女性がいるんです。

この人はもともと小学校の先生で、民政委員もされていて、
そのあとに人々の悩み相談をしていたんですね。

たまたまその人が、毎月11日に
主婦を中心に勉強会みたいなものを開いていて。

先ほど紹介した『思いやり』の冒頭に蓮の写真を提供してくれた女性が、
その勉強会に出入りされていると聞いて、
ならば久しぶりに僕もお礼の挨拶がてら参加しようかな、と。

ご自宅を開放してね、きらきら塾みたいなことをされていて、
ぱっと久しぶりに行ったら、ふすまに絵が描かれていたんですよ。

「この絵って何!?」と思ってお聞きしたら、
僕は5月11日生まれなんですけど、
ふすまの絵に「5月11日」って日付が書いてあったんで、
余計に気になりだしました。

そうしたら、実は九州のほうに義手で絵を書く人が
たまたま家に来てくださって、「書いてもらった」っていうんですよ。

ピン!!ときて、「なんていう方ですか?」聞いたら、
“大野勝彦さん”って言うんです。

それで、たまたまその数日後に
テレビ番組『たけしのアンビリーバーボー』で
大野さんの物語が放映されていたんですよ。

その番組を見た翌日ですよ。
『いのちのまつり』のときのような感じで
またうちの社長が会社でね、
「七沖に見てほしい画集がある」って言われて、
見たら、な、な、なんと大野さんの画集ではないですか!!

一樹:
また、そうきましたか!
す、すごいですね・・・。

鈴木さん:
もうびっくりしてしまって。
これは「会いに行きたい」と思って、
お手紙を書いて熊本まで行きました。

そうしたら、とても男気のある人で、
農業をしてらっしゃったんですけど、
45歳のときに事故で両手をなくして、
それから「画家になりたい」と思われて。

農業をやっていて、その延長で関連の
あることをするのは分かるんですが、
画家なんて普通考えないじゃないですか・・・。

両手があっても、なかなか難しいのに。

一樹:
そうですよね・・・

鈴木さん:
それからずーーっとコツコツと絵を描いて、
最終的には15000坪の土地を阿蘇の麓に購入して、
ご自分の美術館を作ってしまったんで。

一樹:
え~~!!

鈴木さん:
それで行ってみたら、
もうそんなことをやっちゃう人なんで、
全部自分でやってしまうわけですよ。

画集からポストカード、カレンダー作りから、
何から何まで、ですね。

それだけに、「本を出版社から出すなんて考えていません」って断られました。
でも、やっぱり何か感じるものがあるので、
再度東京へ戻ってからもお手紙を書いたんですね。

それで、社長とも「これは二人でもう一回頼みに行こうよ!!」
って話になって、またお願いしに行きました。

どういう想いをもって、大野さんの本を出したいのかということを伝えて、
そう話しているうちに、ようやく大野さんがOKをだしてくれたんです。

ご本人は、3500円もする画集をずっと手売りで、
類計すると20万部以上販売されてきたんです。

ご自身の講演会などで手売りされて。

一樹:
すっごいですね!!!

鈴木さん:
だから、そんな方がOKして下さった以上は、
これは一筋縄ではいけないと思って。

それで、いろんなプランを練って、
「詩画集と手記っていう両方を同時に出そう」ってことになって。

詩画集は、大野さんとお会いするうちに、
両手をなくして普通なら絶望になる中で、
子どもも3人いて、その中で両手を失ってわれたんです。

でも、そこから大野さんが凄かったのが、
とにかく絶望の状況をプラスに考えて、
何かあったときには『はい、わかりました』で受け止めようっていう
心定めしているんですよね。

大野さんは困難が山ほどあったんですけど、
まずは「できない」と言わず、とにかく受け止めるということを
実践していったそうです。

だから、タイトルはもう『はい、わかりました』しかないわけですよ。

じゃあ、手記はどうしようかということで、
『はい、わかりました』という優しさと、
『よし、かかってこい!』っていう荒々しいタイトルと、
両方のバランスを出してみたのです。

この本を作るときも、
大野さんの美術館に写真家と泊まりこんで、
僕は大野さんと他の部屋でずっとお話を聞かせていただいて。

それで膨大な録音テープを持って帰って、
会社に戻って全部テープお越しをして、
まとめている時に、当時ぼくは42歳なんですけど、
胸が熱くなってね、
キュッと切断された腕の部分がなんかムズムズするわけです!!

大野さんの体験話に入れ込みすぎてしまって、
心身ともにフラフラ状態になってしまって。

連れ合いからも「大丈夫?」って(笑)

本当に今思えばユニークな体験でしたけど、
結果的にはなんとかいい形になりました。

それで、丸善という東京駅近くにある本屋さんの1階に、
小さな10畳ほどのスペースがあって、
大野さんの個展をやらせていただくことになりまして。

ある意味では、初お披露目ですよ。
大野さんの作品や本も売り場において、
ミニ講演会もセットで開催してね。

そこで、僕は血が熱い人間ですから、
1週間必死になって手売りで1000冊売りました(笑)
思うことと動くことの大切さを体験できるいい機会でしたね。

そんな出来事もあって、大野さんからは大切なことを学びました。
「人は幾つになっても魂レベルで取り組んで燃え続けること」

一樹:
すごいお話ですね。

鈴木さん:
今まで培ってきた編集力を、思う存分出させていただきました。


★大野 勝彦さんHPはこちら
   http://www2.infobears.ne.jp/oonokatuhiko/


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ディスカッション

One comment for “第16話 『はい、わかりました』~大野勝彦さんとの出逢い”

  1. 「男とは、どうあるべきか?」
    幾つになっても僕はそんな青臭いことを考えていますが、
    その答えのひとつをもっているのが大野さんでした。

    理由は……阿蘇にある彼の美術館に行けばわかります。

    お時間のある方は、ぜひ訪ねてみてください。
    ハンカチもお忘れなく!


    Posted by 七沖 | 1 月 4, 2009, 12:51:02

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